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EVIDENCE / 食べ物の常識
食べ物の常識の研究まとめ
食べ物の常識について、研究でわかったことを5本、元の論文の出典つきでまとめています。わかったことだけでなく、研究の限界や「まだわからないこと」も書いています。
ランダム化比較試験
よく聞く説
同じものを食べても、夜遅いと太りやすいってよく聞くよね。食べる量が同じなら、時間だけで体の反応は変わるのかな。
調べたこと
同じ食事を約4時間ずらす
体重が多めの16人が研究施設に泊まり、まったく同じ3食を「朝・昼・夕」と、約4時間遅らせた「昼・夕・夜」の両方で過ごした。順番はくじで決め、睡眠や光、運動もそろえた。
わかったこと
遅い日はおなかがすき、消費が少し減った
遅く食べた日は空腹を感じる確率が約2倍になり、食欲を抑えるホルモン(レプチン)は起きている間に16%下がった。起きている間に使うエネルギーも約60kcal(5%)少なかった。
まだわからないこと
体重が増えるかは測っていない
見たのは数日の体の反応で、何か月も続けて太るかは調べていない。対象は16人(女性5人)、アメリカの病院の施設での話。遅い日は朝食を抜く形だったので、時間と朝食抜きを分けられない。
出典: Vujović et al., "Late isocaloric eating increases hunger, decreases energy expenditure, and modifies metabolic pathways in adults with overweight and obesity" (Cell Metabolism, 2022)
あわせて読む朝食を食べればやせる、は本当?この実験の遅い日は朝食抜き。朝食と体重の試験をまとめた研究と並べて読める
メタ分析
少しずつ何回も食べるとやせる?
よく聞く説
1日3食より、5回6回に分けて少しずつ食べたほうが脂肪が落ちる、という話があるよね。回数を増やすと、本当に体は変わるのかな。
調べたこと
食事の回数を変えた15の研究
食事の回数を変えて、脂肪や筋肉などの体の量がどう変わるかを調べた実験を15本集め、数字でまとめて比べた。
ほんとのところ
1本の研究を外すと差が消えた
全部まとめると、回数が多いほど脂肪が減る傾向に見えた。でも1本ずつ外して確かめると、その差はたった1本の研究から来ていた。著者は「回数を増やすと良い」とは言えず、慎重に見るべきだとしている。
まだわからないこと
研究の数も条件もばらばら
集めた研究は人数・期間・食べる量の決め方がそろっていない。回数を変えても1日に食べる量が同じかどうかで話は変わるので、今は「回数で差がある」とも「ない」とも言い切れない。
出典: Schoenfeld et al., "Effects of meal frequency on weight loss and body composition: a meta-analysis" (Nutrition Reviews, 2015)
あわせて読む朝食を食べればやせる、は本当?朝食を食べるかどうかも食事回数の問題。体重との関係を試験で調べた別のまとめ
ランダム化比較試験
素朴な疑問
糖質制限がいい、いや脂質を減らすべき、と意見が分かれるよね。さらに「遺伝子のタイプで向き不向きがある」という話も。1年続けて比べた研究があるんだ。
調べたこと
609人をくじで2つに分けて1年
糖尿病のない18〜50歳で体重が多めの609人を、脂質を減らす組と糖質を減らす組にくじで分けた。どちらも質のよい食事を心がけ、1年間で22回のグループ指導を受けた。
わかったこと
1年後の差はほとんどなかった
1年後の体重は、脂質を減らした組が平均5.3kg、糖質を減らした組が6.0kg減り、差ははっきりしなかった。遺伝子のタイプやインスリンの出方で、どちらが向くかを見分けることもできなかった。
まだわからないこと
平均の話で、個人差は大きい
最後まで続けたのは79%。結果は平均の話で、対象は体重が多めで糖尿病のない18〜50歳の大人。ほかの人に同じ結果が出るかはわからない。
出典: Gardner et al., "Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion" (JAMA, 2018)
レビュー
よく聞く説
うま味調味料(グルタミン酸ナトリウム)を食べると頭痛がする、という話は昔からあるよね。頭痛の国際分類にも原因の1つとして載っているけど、人で試した研究はどうなっているのかな。
調べたこと
人に食べさせた研究を集めた
うま味調味料を口から取ってもらい、頭痛が出たかを調べた人の研究を集めて整理した。食べ物と一緒に取ったか、水に溶かして単独で取ったかで分けて比べている。
ほんとのところ
食事と一緒なら差はほぼ出なかった
食べ物と一緒に取った6つの研究では、1つの研究の女性グループを除き、頭痛の出方に差はなかった。単独で取った7つのうち4つでは差が出たけど、多くは2%を超える濃い液で、味で本物とわかってしまう条件だった。
まだわからないこと
「関係ない」とも言い切れない
濃い液の実験は、飲んだのが本物か偽物か本人にわかってしまうので、思い込みの影響を外せていない。結果もそろっていないため、著者は因果関係があるかは、きちんとした試験がもっと必要だとしている。
出典: Obayashi & Nagamura, "Does monosodium glutamate really cause headache? : a systematic review of human studies" (The Journal of Headache and Pain, 2016)
メタ分析
よく噛むと食べすぎない?
よく聞く説
「よく噛んで食べなさい」って子どものころ言われたよね。よく噛むとおなかがいっぱいになりやすくて、食べる量も減る、という話は本当なのかな。
調べたこと
噛む回数を変えた17の試験
1口あたりの噛む回数や噛む時間を変えて、空腹感・食べた量・おなかのホルモンを調べた15本の論文(17の試験)を集めた。空腹感の数字がそろう13の試験は、まとめて計算もした。
わかったこと
空腹感と食べる量が減る傾向
16の実験のうち10で、よく噛むと食べた量が減った。数字でまとめると、よく噛んだときは空腹感の自己評価が少し下がった。満腹に関わるおなかのホルモンが増えたという試験もあった。
まだわからないこと
やせるかどうかは別の話
見たのは1回の食事の前後で、続けると体重が減るかは調べていない。試験ごとのやり方がばらばらで、効果が出た研究ほど発表されやすい偏りも見つかった。著者も「まだ予備的」としている。
出典: Miquel-Kergoat et al., "Effects of chewing on appetite, food intake and gut hormones: A systematic review and meta-analysis" (Physiology & Behavior, 2015)