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EVIDENCE / 香りと記憶
香りと記憶の研究まとめ
香りと記憶について、研究でわかったことを5本、元の論文の出典つきでまとめています。わかったことだけでなく、研究の限界や「まだわからないこと」も書いています。
実験
匂いで昔の記憶が蘇ると、感情が強くなる?
匂いで思い出した記憶は、同じ手がかりを見て思い出した記憶より、感情の強さが高いと評価された。
研究
どんな研究?
参加者が思い出に残る出来事を言葉で思い出した後、同じ手がかり(例:香水)を匂いで嗅ぐ場合と、見て確認する場合で、記憶の感情の強さなどを比べた。
結果
分かったこと
匂いに誘発された記憶は、視覚や言葉の手がかりの記憶より有意に感情的で、「その時に戻った」感覚も強い傾向があった。ただし鮮明さや正確さまでは示していない。
出典: Herz & Schooler, "A Naturalistic Study of Autobiographical Memories Evoked by Olfactory and Visual Cues: Testing the Proustian Hypothesis" (American Journal of Psychology, 2002)
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ランダム化比較試験
ローズマリーの香りは、記憶力を高める?
ローズマリーの香りの部屋では記憶の質が高く、ラベンダーでは作業記憶が低下した。ただし1つの実験で、記憶の速さは逆に遅くなった。
研究
どんな研究?
英国ノーサンブリア大学の研究チームが、健康な144人をローズマリー・ラベンダー・無香の部屋に分け、研究目的を伏せたまま認知テストと気分の質問に答えさせた。
結果
分かったこと
ローズマリー群は無香群より、記憶全体の質と二次記憶が有意に高かったが、記憶の速さは低下した。ラベンダー群は作業記憶が低下し、反応も遅くなった。
出典: Moss, Cook, Wesnes & Duckett, "Aromas of Rosemary and Lavender Essential Oils Differentially Affect Cognition and Mood in Healthy Adults" (International Journal of Neuroscience, 2003)
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実験
待合室の香りで、治療前の不安は和らぐ?
歯科の待合室でオレンジやラベンダーの香りをかいだ患者は、香りのない待合室の患者より不安が低く、気分が良かった。
研究
どんな研究?
ウィーン医科大学の研究チームが、歯科治療を待つ18〜77歳の患者200人を、オレンジの香り・ラベンダーの香り・音楽・何もなしの4条件に分けて比べた。
結果
分かったこと
オレンジとラベンダーのどちらの香りの群も、何もない群より不安が低く、気分が良かった。
出典: Lehrner, Marwinski, Lehr, Johren & Deecke, "Ambient Odors of Orange and Lavender Reduce Anxiety and Improve Mood in a Dental Office" (Physiology & Behavior, 2005)
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実験
覚えたときの香りを睡眠中に嗅ぐと、記憶が定着する?
学習時と同じ香りを深い眠りの間に再び嗅ぐと、覚えた内容の保持が良くなった。ただし小規模な実験である。
研究
どんな研究?
ドイツの研究チームが、バラの香りの中で課題を覚えた人に、睡眠中にその香りを再び嗅がせ、翌朝の記憶テストと、睡眠中のfMRIの脳活動を調べた。
結果
分かったこと
香りを深いノンレム睡眠中に嗅いだ人は保持が改善し、海馬が活動した。レム睡眠中や起きている間、学習時に香りがなかった場合は効果がなかった。
出典: Rasch, Büchel, Gais & Born, "Odor Cues During Slow-Wave Sleep Prompt Declarative Memory Consolidation" (Science, 2007)
レビュー
香りは子どもの頃の記憶を呼び戻す?
香りで呼び起こされる思い出は、言葉や写真のきっかけより古い、幼少期のものに偏る傾向があります。懐かしい香りでふと昔を思い出すのは、実際に起こる現象です。
研究
どんな研究?
高齢者93人に、言葉・写真・香りのいずれか1種類を手がかりに自伝的記憶を思い出してもらい、年代と特徴を比べました。手がかりの種類で、思い出す年代が違うかを調べました。
結果
分かったこと
香りの記憶は10歳未満に集中し、言葉や写真は10代以降が中心。「過去に戻った感覚」が強く、思い出す頻度は低めでした。高齢者を対象とした1つの研究である点には注意が必要です。
出典: Willander & Larsson, "Smell Your Way Back to Childhood: Autobiographical Odor Memory" (Psychonomic Bulletin & Review, 2006)
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