SEADICE / EVIDENCE / 自然と健康

EVIDENCE / 自然と健康

自然と健康の研究まとめ

自然と健康について、研究でわかったことを5本、元の論文の出典つきでまとめています。わかったことだけでなく、研究の限界や「まだわからないこと」も書いています。

観察研究

週に何分、自然に触れると健康的?

週120分以上自然の中で過ごす人は、健康や幸福感が高い傾向があります。1回でも小分けでも同じでした。因果は未確定です。

研究

どんな研究?

イングランドの全国調査(2014〜16年)に答えた19,806人が対象。過去7日間の自然とのふれあい時間と、自己申告の健康・幸福感の関係を調べました。

結果

数字で見ると

自然ゼロ週と比べ、120〜179分で良好な健康のオッズは1.59倍、高い幸福感は1.23倍。効果は週200〜300分ごろで頭打ちになりました。

出典: White et al., "Spending at least 120 minutes a week in nature is associated with good health and wellbeing" (Scientific Reports, 2019)

あわせて読む自然の中での運動は、短時間でも心に効く?自然の効果は、短時間で大きく、ある量で頭打ちになる

観察研究

窓から木が見えると、術後の回復が早い?

自然が見える病室の患者は、壁しか見えない病室より入院が短い傾向がありました。ただし小規模な過去記録の分析です。

研究

どんな研究?

米国ペンシルベニア州の病院で、1972〜81年に胆のう手術を受けた患者の記録を分析。自然の景色が見える窓の部屋の23人と、レンガの壁に面した部屋の23人を比較。

結果

分かったこと

景色が見えた患者は術後の入院が短く、看護記録の否定的コメントも少なく、強い鎮痛薬の使用も少なめでした。小規模な事後分析で、追試が必要です。

出典: Ulrich, "View through a window may influence recovery from surgery" (Science, 1984)

ランダム化比較試験

自然の中を歩くと、くよくよが減る?

90分の自然の中の散歩で、悩みを繰り返し考える反すうが減りました。都会の散歩では変化がありませんでした。

研究

どんな研究?

健康な都市住民38人を無作為に2群へ。19人は自然豊かな場所、19人は交通量の多い都市部を90分歩き、前後で反すうの質問票と脳のfMRIを測りました。

結果

分かったこと

自然散歩の群だけ、自己報告の反すうが減り、反すうに関わる膝下部前頭前野の活動も低下。都会の散歩群には変化がありませんでした。

出典: Bratman et al., "Nature experience reduces rumination and subgenual prefrontal cortex activation" (PNAS, 2015)

観察研究

緑の多い街で育つと、心の病気になりにくい?

子ども時代に緑が多い環境で育った人は、後の精神疾患の割合が低い傾向でした。ただし観察研究で、因果は断定できません。

研究

どんな研究?

デンマークの約100万人を対象に、生まれてから10歳までの住所周辺の緑の量を衛星画像で測定。その後の精神疾患の診断を長期に追跡した大規模研究です。

結果

数字で見ると

緑が最も少なかった人は、最も多かった人より、さまざまな精神疾患のリスクが最大55%高めでした。都市度や親の病歴を調整しても関連は残りました。

出典: Engemann et al., "Residential green space in childhood is associated with lower risk of psychiatric disorders from adolescence into adulthood" (PNAS, 2019)

あわせて読む緑に囲まれると、体にも良いことがある?緑の多い環境と心身の健康を、まとめと追跡調査で

メタ分析

緑に囲まれると、体にも良いことがある?

緑地に触れる機会が多いほど、ストレスホルモンや血圧が低めで、心血管死亡や糖尿病のリスクも低めという関連が示されました。

研究

どんな研究?

緑地への接触と健康の関係を調べた観察研究103件と介入研究40件、約100の健康指標を統合した系統的レビューとメタ分析です。

結果

数字で見ると

緑が多いほど唾液コルチゾールと心拍数が低く、心血管死亡の比は0.84、2型糖尿病は0.72。研究の質やばらつきには限界があります。

出典: Twohig-Bennett & Jones, "The health benefits of the great outdoors: A systematic review and meta-analysis of greenspace exposure and health outcomes" (Environmental Research, 2018)

あわせて読む緑の多い街で育つと、心の病気になりにくい?緑の多い環境と心身の健康を、まとめと追跡調査で

スワイプで1本ずつ読めるアプリもあります。気になった話は、出典つきで友だちに送れます。

EVIDENCEアプリ(無料)

ほかの分野