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EVIDENCE / ペットの科学
ペットの科学の研究まとめ
ペットの科学について、研究でわかったことを5本、元の論文の出典つきでまとめています。わかったことだけでなく、研究の限界や「まだわからないこと」も書いています。
観察研究
犬を飼うと、運動不足が解消する?
よく聞く説
毎日の散歩があるから、犬を飼うと自然に体を動かすようになるってよく聞くよね。じゃあ実際、飼っていない人とどれくらい違うんだろう。
調べた人
イギリスの町で、家族まるごと聞いてみた
リバプール大学などのチームが2015年、イギリス西チェシャーの385世帯にアンケート。犬を飼う大人191人、飼っていない大人455人、子ども46人の運動を比べた。
わかったこと
週150分の目安を満たす人が、ぐっと多かった
犬を飼う人は、楽しみで歩く人が大幅に多く、週150分の運動の目安を満たすオッズは約4倍。散歩のぶん他の運動を減らしているわけでもなかった。犬のいる家の子どもも、よく歩いていた。
まだわからないこと
犬のおかげか、もともと歩く人が飼うのか
これは一度きりのアンケートで、運動量はほぼ自己申告(機械で確かめたのは大人28人だけ)。もともと歩くのが好きな人が犬を飼った可能性もあるし、イギリスの1地域の話でもある。
出典: Westgarth et al., "Dog owners are more likely to meet physical activity guidelines than people without a dog: An investigation of the association between dog ownership and physical activity levels in a UK community" (Scientific Reports, 2019)
実験
猫って、なでられるのが好きなの?
素朴な疑問
なでてたら急にガブッ…って経験、猫と暮らす人ならあるよね。猫はどこをなでられるかで反応が変わるのか、確かめた研究があるんだ。
試したこと
体の場所ごとに、なでて反応を記録
研究チームは2つの実験で、猫の体のいくつかの場所をなで、嫌そうなしぐさを点数にした。なでる人が知らない人か、なじみのある人かでも比べた。
わかったこと
しっぽの付け根あたりは、嫌がられやすい
どちらの実験でも、しっぽの付け根に近い腰のあたりが一番嫌そうな点数が高かった。意外なことに、なじみの人がなでたほうが嫌そうな点数は高め(8.5対5.0)。なでる順番は関係なかった。
まだわからないこと
なぜなじみの人のほうが嫌がられたのかは謎
見たのは嫌そうなしぐさで、気持ちよさそうかは直接はかっていない。なじみの人で嫌そうな点数が高かった理由も、この研究だけではわからない。実験した猫の数や国も、ここでは確かめきれていない。
出典: Ellis et al., "The influence of body region, handler familiarity and order of region handled on the domestic cat's response to being stroked" (Applied Animal Behaviour Science, 2015)
実験
犬は、飼い主の表情がわかるの?
素朴な疑問
落ち込んでるとそばに来てくれる気がする…って思う人は多いよね。でも犬が見ているのは表情そのものなのか、声や雰囲気なのか。写真だけで確かめた研究がある。
試したこと
笑顔と怒り顔の写真を見分ける訓練
ウィーン獣医科大学などのチームが、犬に人の笑顔と怒り顔の写真15組を見分ける訓練をした。ある犬には顔の上半分だけ、別の犬には下半分だけを見せた。
わかったこと
初めて見る顔でも、表情で見分けられた
訓練後、知らない人の顔や、訓練で見ていない側の半分を見せても、犬は偶然より高い確率で見分けた。笑顔を選ぶよう教わった犬のほうが早く覚え、怒り顔を嫌なものと感じていた可能性もある。
まだわからないこと
見分けられる=気持ちがわかる、ではない
わかったのは、訓練すれば写真の表情を見分けられること。表情の意味まで理解しているか、家で飼い主の顔をどう読んでいるかは、この実験だけではわからない。
出典: Müller et al., "Dogs Can Discriminate Emotional Expressions of Human Faces" (Current Biology, 2015)
実験
犬と見つめ合うと、お互いの「絆ホルモン」が増えるらしい
犬にじっと見つめられると、なんだか幸せな気分になるよね。実はそのとき、人と犬の両方で、絆に関わるホルモン「オキシトシン」が増えているらしい。
調べた人
日本の麻布大学のチームが、尿で測った
麻布大学などのチームが、飼い主と犬が一緒に過ごしたときの見つめ合いと、尿の中のオキシトシンの量を調べた。オオカミとも比べた。
わかったこと
見つめ合いがぐるぐる回るループに
犬が飼い主をよく見つめると飼い主のオキシトシンが増え、飼い主が犬をかまう行動も増え、犬のオキシトシンも増えた。オオカミではこの変化は見られなかった。犬の鼻にオキシトシンを入れると、見つめる行動も増えた。
まだわからないこと
1つの研究チームの、短い実験の結果
これは決まった時間の実験で測った話。毎日の暮らしで同じループが続いているか、どんな犬や飼い主でも同じかはわからない。人と犬が一緒に進化した、という部分は研究者の解釈だよ。
出典: Nagasawa et al., "Oxytocin-gaze positive loop and the coevolution of human-dog bonds" (Science, 2015)
実験
猫は、自分の名前がわかってる?
素朴な疑問
呼んでも来ないから、名前なんてわかってないのでは…と思うよね。でも反応のしかたをよく見ると、ちゃんと聞き分けているらしい。
試したこと
似た言葉を続けて聞かせ、最後に名前を
上智大学などのチームが、家やねこカフェの猫で4つの実験をした。名前と同じ長さの別の言葉を4回聞かせて慣れさせ、最後に本人の名前を流して、耳や頭の動きを比べた。
わかったこと
自分の名前で、また反応が戻った
家の猫は、ふつうの単語や一緒に暮らす猫の名前に慣れたあとでも、自分の名前にはまた反応した。知らない人の声で呼ばれても同じだった。ただ、ねこカフェの猫は同居猫の名前と自分の名前を区別できていなかった。
まだわからないこと
「名前」と思っているかは別の話
わかったのは音を聞き分けていること。反応は耳や頭を向けるくらいで、鳴いたりしっぽを動かす猫は1割未満。名前がごはん等と結びついている可能性も研究者は挙げている。実験1は16匹と少数。
出典: Saito et al., "Domestic cats (Felis catus) discriminate their names from other words" (Scientific Reports, 2019)