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EVIDENCE / 顔と第一印象

顔と第一印象の研究まとめ

顔と第一印象について、研究でわかったことを5本、元の論文の出典つきでまとめています。わかったことだけでなく、研究の限界や「まだわからないこと」も書いています。

実験

顔を見れば、信用できる人かわかる?

よく聞く説

人相で人柄がわかる、という話はよく聞くよね。実際、人は初対面の相手を顔で「信用できそう」と判断しがち。でも、その判断は当たっているのかな。

調べた人

お金がかかった場面で、顔だけで見抜けるか試した

2022年、イェーガーたちは大学生に知らない人の顔写真を見せ、信用するかを決めてもらった(131人)。別の実験では、当てると得をする形で信用度を予想してもらった(266人)。

ほんとのところ

顔だけでは、見抜けなかった

どちらの実験でも、判断は相手が実際に信用できたかどうかと関係がなかった。顔だけを切り抜いた写真でも、髪や服が写った写真でも同じ。相手が男性でも女性でも変わらなかった。

まだわからないこと

写真だけの、大学生の結果

使ったのは写真で、ほかの情報がない場面に限った話。声や会話、これまでの付き合いがあると話は変わるかもしれない。参加者は大学生で、人数も数百人と多くはない。

出典: Jaeger, Oud, Williams, Krumhuber, Fehr, Engelmann, "Can people detect the trustworthiness of strangers based on their facial appearance?" (Evolution and Human Behavior, 2022)

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観察研究

顔の第一印象は、世界のどこでも同じ?

素朴な疑問

顔から受ける印象は「感じがよいか」と「強そうか」の2つの軸でほぼ説明できる、という有名な説がある。でも、元の研究はほとんど欧米の人が対象だったらしい。

調べた人

41か国、1万1570人で同じ方法を試した

2021年、ジョーンズたちは世界の研究者と組んで、11の地域・41か国の1万1570人に顔を評価してもらった。分析の方法を前もって登録し、審査を受けてから集めた。

わかったこと

元の方法なら共通。別の方法だと地域差が出た

元の研究と同じ分析では、2つの軸はどの地域でもよく当てはまった。ところが、軸どうしが関係してもよい別の分析にすると、当てはまりはずっと弱くなり、地域による違いが見えてきた。

まだわからないこと

「共通」かどうかは分析の仕方しだい

答えは分析の選び方で変わる、というのが結論。どの方法がより正しいかは決着していない。評価したのは写真の顔で、実際に会ったときの印象とは違うかもしれない。

出典: Jones, DeBruine, Flake, Liuzza et al., "To which world regions does the valence-dominance model of social perception apply?" (Nature Human Behaviour, 2021)

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メタ分析

「平均顔」や左右対称の顔ほど、魅力的?

よく聞く説

たくさんの顔を重ねた平均顔は美人に見える、左右対称な顔ほど好まれる、という話があるよね。美しさは文化ごとにバラバラ、という考えとは逆の説らしい。

調べた人

顔の魅力の研究を集めて、数字でまとめた

2006年、ローズは顔の魅力に関する研究を整理し、平均的な顔・左右対称・男らしさ女らしさの3つについてメタ分析をした。

ほんとのところ

3つとも、男女の顔で、文化をこえて魅力的に見えた

平均的な顔、左右対称の顔、男女らしさがはっきりした顔は、男性の顔でも女性の顔でも、いくつもの文化で魅力的と評価された。好みは幼いころから見られ、文化の間でも一致しやすかった。

まだわからないこと

なぜ魅力的に見えるのかは、まだ説が分かれる

健康のしるしだから好まれる、という説と、脳が見慣れた形を処理しやすいだけ、という説があり、ローズは両方が関わると考えた。2006年のまとめで、それ以降の研究は含まない。魅力は評価のされ方の話で、人の価値とは別。

出典: Rhodes, "The Evolutionary Psychology of Facial Beauty" (Annual Review of Psychology, 2006)

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観察研究

選挙は、候補者の顔で左右される?

素朴な疑問

2005年、トドロフたちは、顔写真を1秒ほど見て「有能そう」と選ばれた候補が、2004年の米上院選の68.8%で勝っていたと報告した。これは国や文化をこえても起きるのかな。

調べた人

メキシコとブラジルの候補者を、米国とインドの人が評価

2010年、ローソンたちは、名前を伏せた白黒の顔写真を米国とインドの人に見せ、どちらがよい政治家になりそうか選んでもらった。その評価と、実際の選挙結果を比べた。

わかったこと

国が違っても評価は一致し、結果ともよく合った

文化や人種が違っても、米国とインドの人の評価はよく一致した(相関0.70〜0.87)。そして、その評価はメキシコとブラジルの実際の得票を、驚くほどよく言い当てた。

まだわからないこと

顔が票を動かしたのかは、まだはっきりしない

顔の評価と結果が一緒に動いたことを見た研究で、顔そのものが票を変えたとまでは言えない。選挙の仕組みによって、見た目の効き方は強まったり弱まったりするらしい。

出典: Lawson, Lenz, Baker, Myers, "Looking Like a Winner: Candidate Appearance and Electoral Success in New Democracies" (World Politics, 2010)

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実験

笑顔の人は、どこでも信頼される?

よく聞く説

笑顔は感じがよく、正直そうに見える、というのはよく聞く話。でも、その研究の多くは欧米の大学生が対象。文化が違っても同じなのかな。

調べた人

44の文化で、笑顔と真顔の写真を比べた

クリスたちは、44の文化の大学生4519人に、笑顔の顔4枚と真顔の顔4枚を見せ、どれくらい正直そうか、頭がよさそうかを7段階でつけてもらった。

わかったこと

正直そうに見えやすいが、国で差があった

平均すると笑顔は正直そうに見えたが、汚職が多い社会ほどこの差は小さかった。頭のよさは、先のことが読めない状況を気にしない文化ほど、笑顔の人のほうが低く見られた。日本では笑顔のほうが頭がよさそうに見えにくかった。

まだわからないこと

大学生と、決まった8枚の顔の結果

参加者は各国の大学生で、国全体を代表してはいない。顔は欧米系・アフリカ系・インド系の8枚だけで、自分と同じ民族の顔なら違うかもしれない。笑顔の強さや場面の違いも調べていない。

出典: Krys, Vauclair, Capaldi, Lun, Bond et al., "Be Careful Where You Smile: Culture Shapes Judgments of Intelligence and Honesty of Smiling Individuals" (Journal of Nonverbal Behavior, 2016)

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