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EVIDENCE / 対人関係の心理学

対人関係の心理学の研究まとめ

対人関係の心理学について、研究でわかったことを15本、元の論文の出典つきでまとめています。わかったことだけでなく、研究の限界や「まだわからないこと」も書いています。

実験

雑談より、深い質問の方が早く親しくなれる?

45分間、だんだん踏み込んだ質問に答え合ったペアは、同じ時間に雑談をしたペアより、終了後に強い親密さを感じていた。恋に落ちると証明した研究ではない。

研究

どんな研究?

初対面の参加者ペアが、45分間「だんだん個人的になる質問に答え合う課題」か「当たり障りのない雑談課題」のどちらかを行い、終了後の親密さを比べた(研究1)。

結果

分かったこと

親密さを高める課題を行ったペアは、雑談課題のペアより終了後の親密さが有意に高かった。別の研究2・3では、態度の一致などの条件による差は見られなかった。

出典: Aron, Melinat, Aron, Vallone & Bator, "The Experimental Generation of Interpersonal Closeness: A Procedure and Some Preliminary Findings" (Personality and Social Psychology Bulletin, 1997)

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実験

自己開示は「する」より「し合う」方が仲良くなれる?

一方通行で自分のことを話すより、お互いに順番に自己開示をし合う(リシプロカル・ディスクロージャー)方が、初対面の相手への好意や親密さがより高まることが分かっている。

研究

どんな研究?

米大学生156人を2人1組にしてSkypeで自己開示の課題を行わせた。交互に質問し合って打ち明ける条件と、一方が質問し他方が話してから役割を交代する条件を比べた。

結果

数字で見ると

交互に自己開示し合った条件の参加者は、役割を分けた条件より、相手への好意・親密さ・類似の感覚・会話の楽しさをより高く報告した。大学生が対象で、日常の人間関係への一般化には注意が必要。

出典: Sprecher, Treger & Wondra, "Taking Turns: Reciprocal Self-Disclosure Promotes Liking in Initial Interactions"

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観察研究

パートナーへの感謝を感じると関係は長持ちする?

同居カップルでは、その日にパートナーの気づかいに感謝を感じた人ほど、翌日の関係への満足感や結びつきが高まっていた。感謝を言葉にした効果を直接示した研究ではない。

研究

どんな研究?

同居している恋人同士の両方に、日々の出来事の記録を日記形式でつけてもらい、パートナーから受けた気づかいへの感謝や負い目の気持ちと、翌日の関係満足度の関係を調べた。

結果

分かったこと

パートナーからの思いやりは感謝と負い目の両方を生んだが、感謝の方が翌日の関係満足度と結びつきの上昇を予測した。感謝した本人と、感謝された側の両方で同じ傾向だった。

出典: Algoe, Gable & Maisel, "It's the Little Things: Everyday Gratitude as a Booster Shot for Romantic Relationships" (Personal Relationships, 2010)

実験

相づちだけより「言い換え」の方が伝わるのか?

ただうなずくだけの相づちより、相手の話した内容を自分の言葉で言い換えて返す「積極的傾聴」の方が、話し手に「理解された」と感じてもらいやすいことが分かっている。

研究

どんな研究?

115人の参加者が、訓練を受けた10人の聞き手役と初対面で話し、聞き手が「言い換え(積極的傾聴)」「助言」「単純な相づち」のいずれかで応答する条件に分けられ、感想を評価した。

結果

分かったこと

積極的傾聴を受けた参加者は、会話の満足度が高く、聞き手を社会的に魅力的だと評価し、他の応答より「理解された」と強く感じていた。初対面の1回の会話での結果。

出典: Weger, Castle Bell, Minei & Robinson, "The Relative Effectiveness of Active Listening in Initial Interactions" (International Journal of Listening, 2014)

実験

初対面で深い話をすると気まずい?

予想ほど気まずくなりません。初対面の人との会話は、本人の予想より気楽で、つながりも感じやすいと分かりました。思い切って踏み込んだ話題を選ぶ価値があります。

研究

どんな研究?

見知らぬ者同士に、浅い話題か深い話題で会話してもらい、事前の予想と実際の感想を比べた複数の実験です。会話の後に、つながりの感じ方や幸福感も尋ねました。

結果

分かったこと

深い会話の気まずさは過大に見積もられていました。相手が自分の話に関心を持つ度合いを低く予想していたことが原因でした。深い会話のほうが、浅い会話より相手との絆を強く感じました。

出典: Kardas, Kumar & Epley, "Overly Shallow?: Miscalibrated Expectations Create a Barrier to Deeper Conversation" (Journal of Personality and Social Psychology, 2022)

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良いことは誰かに話した方がいい?

嬉しい出来事を人に話すと、出来事そのもの以上に気分が上向きます。相手の反応が前向きだと効果はさらに高まります。話す相手が喜んで聞いてくれることも大切です。

研究

どんな研究?

良い出来事を人に伝える行為と、日々の感情や関係満足度の関連を調べた4つの研究です。日記法なども使われました。日々の気分の記録などを分析しています。

結果

分かったこと

話した日は、出来事自体の影響を除いても、ポジティブな感情が高めでした。熱心に応じるパートナーとは親密さも高い傾向でした。

出典: Gable, Reis, Impett & Asher, "What Do You Do When Things Go Right? The Intrapersonal and Interpersonal Benefits of Sharing Positive Events" (Journal of Personality and Social Psychology, 2004)

実験

お見舞いの手紙がAI作だと知られたら?

「本物らしさ」の評価は大きく下がっていた。花屋が代わりに書いたと知った場合も同じように下がり、本人が書いたと知ると上がっていた。

研究

どんな研究?

入院中の女性に友人から届いた手紙を読み、「本人が書いた」「AIで書いた」「花屋が書いた」のどれかを知らされた。参加者は120人(各40人)。

結果

数字で見ると

本物らしさ(5段階)はAIで3.78→2.08、花屋で3.80→2.15、本人で3.83→4.35。架空の場面の実験で、人数も多くない。

出典: Dorigoni & Giardino, "The illusion of empathy: evaluating AI-generated outputs in moments that matter" (Frontiers in Psychology, 2025)

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実験

嘘をつくと右上を見るのは本当?

実験では、嘘でも本当でも右上や左上を見る回数に差はなかった。説を教わっても嘘を見抜く力は上がらなかった。

研究

どんな研究?

右利きの32人に本当の面接と嘘の面接を受けてもらい、64本の映像で目の動きを数えた。別の50人には映像の嘘を判定させた。

結果

数字で見ると

32本中の正解数は、説を教わった人が平均16.33本、教わらなかった人が16.59本で差はなかった。罰のない軽い嘘での実験である。

出典: Wiseman, Watt, ten Brinke et al., "The eyes don't have it: Lie detection and Neuro-Linguistic Programming" (PLoS ONE, 2012)

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実験

真似と好意、先に起きるのはどっち?

先に相手を好きだと感じた人ほど相手のしぐさを真似し、その真似が相手からの好感をさらに高めるという順番が見られた。

研究

どんな研究?

初対面の139人が総当たりで2人ずつ会話し、合計618組分の会話データから、しぐさの真似と好感の関係を分析した。

結果

数字で見ると

真似の大部分は、その2人の組み合わせに特有のものだった。初対面の会話での結果で、恋愛感情そのものを測った研究ではない。

出典: Salazar Kämpf, Liebermann, Kerschreiter et al., "Disentangling the Sources of Mimicry: Social Relations Analyses of the Link Between Mimicry and Liking" (Psychological Science, 2018)

観察研究

心地よい会話の距離は関係で変わる?

関係が近いほど心地よい距離は短くなった。見知らぬ人には約135cm、親しい人には約32cmが平均だった。

研究

どんな研究?

42か国・8,943人に、会話の相手がどこまで近づいても心地よいかを、0〜220cmの図の上で答えてもらった。

結果

数字で見ると

平均は見知らぬ人135.1cm、知人91.7cm、親しい人31.9cm。実際に立った距離ではなく、図の上で答えた好みの距離である。

出典: Sorokowska, Sorokowski, Hilpert et al., "Preferred Interpersonal Distances: A Global Comparison" (Journal of Cross-Cultural Psychology, 2017)

実験

考えごと中に見る方向は国で違う?

考える質問ではどの国でも目を合わせる時間が50%未満に下がった。考えるとき日本の参加者は下を見る傾向があった。

研究

どんな研究?

カナダ・トリニダード・日本の成人各10人に、答えを知っている質問と、考えないと答えられない質問をして視線を調べた。

結果

数字で見ると

答えを知っている質問で目を合わせた時間はトリニダード88%、カナダ64%、日本54%。計30人の面接実験で、人数は少ない。

出典: McCarthy, Lee, Itakura & Muir, "Cultural display rules drive eye gaze during thinking" (Journal of Cross-Cultural Psychology, 2006)

実験

夫婦のお金の口論は何が特別?

お金の口論は最も多い話題ではなかったが、ほかの話題より深刻で、くり返されやすく、努力しても解決しないまま終わることが多かった。

研究

どんな研究?

夫婦100組に、家庭で起きた口論を日記に記録してもらい、お金の口論とほかの話題の口論とで、深刻さやくり返し、解決のされ方を比べた。

結果

数字で見ると

100組が記録した口論は748件。お金の口論は回数こそ最多ではないが長引き、解決しにくかった。ただし日記の記録にもとづく研究。

出典: Papp, Cummings & Goeke-Morey, "For Richer, for Poorer: Money as a Topic of Marital Conflict in the Home" (Family Relations, 2009)

実験

「一緒にやっている」と感じると粘れる?

この実験では、別々の部屋で一人で取り組んでいても、仲間と一緒に取り組んでいると感じる手がかりがあると、難しいパズルに長く取り組んだ。

研究

どんな研究?

3〜5人で顔を合わせたあと、別々の部屋で一人ずつ難しいパズルに取り組む5つの実験。一部の人は仲間からのヒントのメモなどを受け取った。

結果

数字で見ると

一緒に取り組んでいると感じた人は、一人だと思った人より48%長く取り組み、パズルを面白いと感じた。1回きりの短い実験で、解けないパズルを使った。

出典: Carr & Walton, "Cues of working together fuel intrinsic motivation" (Journal of Experimental Social Psychology, 2014)

実験

今の人も権威の指示に従ってしまう?

服従実験を負担を抑えて再現すると、今の人も元の実験と同じくらい、指示に従って電気ショックを強めようとした(電気は流れていない)。

研究

どんな研究?

2006年に米国の成人70人で、生徒役が初めて抗議する150ボルトで止める形にして、ミルグラムの服従実験を再現した。

結果

数字で見ると

70%が150ボルトを超えて続けようとし、元の実験の82.5%と統計的な差はなかった。150ボルトで止めたため、最後まで進んだかは推定にとどまる。

出典: Burger, "Replicating Milgram: Would people still obey today?" (American Psychologist, 2009)

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実験

今でも人は周りに合わせて間違える?

答えが一目でわかる線の長さの課題でも、周りが全員同じ誤答をすると、約3分の1が合わせて間違えた。2023年の再現でも元の結果と似ていた。

研究

どんな研究?

スイスで、協力者5人と参加者1人のグループでアッシュの同調実験を再現した。参加者は210人で、協力者はわざと全員が同じ誤答を言った。

結果

数字で見ると

周りに合わせた誤答は33%。正解にお金を払っても25%残った。政治的な意見では38%が合わせた。1つの国での実験である。

出典: Franzen & Mader, "The power of social influence: A replication and extension of the Asch experiment" (PLOS ONE, 2023)

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