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EVIDENCE / 子育ての科学
子育ての科学の研究まとめ
子育ての科学について、研究でわかったことを6本、元の論文の出典つきでまとめています。わかったことだけでなく、研究の限界や「まだわからないこと」も書いています。
メタ分析
音楽を習うと頭が良くなる?
54研究のまとめでは全体の効果は弱く、ダンスなど別の新しい活動をした子と比べた研究に限ると、知能・学力への効果はほぼゼロだった。
研究
どんな研究?
楽器の演奏などの音楽トレーニングが知能や学力を高めるかを調べた実験54本をまとめた。対象は音楽教育経験のない3〜16歳の計6,984人。
結果
数字で見ると
別の活動と比べた23研究では効果はほぼゼロで、年齢や練習時間でも変わらなかった。練習時間の中央値は30時間で、何年も続けた場合はほぼ未検証。
出典: Sala & Gobet, "Cognitive and academic benefits of music training with children: A multilevel meta-analysis" (Memory & Cognition, 2020)
あわせて読むモーツァルトを聴くと頭が良くなる?音楽で頭が良くなる説を、聴く・習うの両面で検証
ランダム化比較試験
厳しく罰すると、子どもの嘘は減る?
減らなかった。罰の多い学校に通う子どもは、罰の少ない学校の子より嘘をつく割合が高く、嘘をつき通す力も高かった。
研究
どんな研究?
西アフリカの私立学校に通う3〜4歳児84人を、罰の多い学校と少ない学校(各42人)で比べた。見てはいけないおもちゃを見た後に正直に話すかを調べた。
結果
数字で見ると
嘘をついた割合は罰の多い学校で94%、少ない学校で56%だった。子どもを学校にランダムに割り振ったわけではない自然実験での結果。
出典: Talwar & Lee, "A punitive environment fosters children's dishonesty: a natural experiment" (Child Development, 2011)
観察研究
子どもの癇癪は年齢とともにどう変わる?
毎日のように癇癪を起こす子の割合は1〜2歳ごろが最も高く、3〜5歳にかけて下がった。一方で1回の長さは年齢とともに延びる傾向があった。
研究
どんな研究?
オランダの1〜5歳児861人を追跡し、親の報告をもとに癇癪の頻度や長さ、怒り・攻撃性などの要素と、その後の問題との関連を調べた。
結果
数字で見ると
毎日の癇癪は1〜2歳で10〜12%、3〜5歳で2〜5%。6〜10分続く子は1歳で22%、5歳で47%。親の報告にもとづく海外の調査。
出典: Van den Akker, Hoffenaar & Overbeek, "Temper Tantrums in Toddlers and Preschoolers: Longitudinal Associations with Adjustment Problems" (Journal of Developmental & Behavioral Pediatrics, 2022)
観察研究
登園しぶりは何日くらいで落ち着く?
オランダの調査では、再登園で行動が変わった子が落ち着くまで平均7.7登園日だった。ただし1〜60日と個人差は大きかった。
研究
どんな研究?
保育施設の休止明けに再登園した、平均月齢27.2か月の子ども694組の親に、子どもと親自身の苦痛や、落ち着くまでの日数を尋ねた。
結果
数字で見ると
再登園時に苦痛を示した子は29.1%、苦痛を感じた親は31.6%。年齢が低いほど苦痛が強い関連があった。親の回答のみの振り返り調査。
出典: de Vet et al., "Parent and Child Distress at Reopening of Childcare Centers After COVID-19 Closures" (Frontiers in Psychology, 2021)
実験
幼児は自分でタッチした方が言葉を覚える?
2〜3歳のタブレット実験では、自分でタッチして選ぶより、相手が選んだものを見て教わる方が、新しい単語を正しく選べる割合が高かった。
研究
どんな研究?
24・30・40か月の子ども130人に、タブレットで新しい単語を教えた。自分で選ぶ「能動」と、見て教わる「受け身」の条件を比べた。
結果
数字で見ると
受け身の条件のほうが正答の割合が高く、マレーシアの32人でも同じ傾向だった。視線では覚え方に差がなく、簡易アプリでの1回限りの実験である。
出典: Ackermann, Lo, Mani & Mayor, "Word learning from a tablet app: Toddlers perform better in a passive context" (PLoS ONE, 2020)
観察研究
画面時間を守れる家庭の特徴は?
「何時まで」「何分まで」と具体的なルールを決めて守らせる家庭は、1年後も推奨時間を守れている見込みが高かった。
研究
どんな研究?
カナダの未就学児の親315人を、子どもが3.5歳と4.5歳の時点で追跡し、親の関わり方とスクリーンタイムの関係を調べた。
結果
数字で見ると
ルールを守らせる関わりが多い家庭は、推奨時間(1日1時間以内)を守れるオッズが約4倍。楽しみの同席視聴が多い家庭はむしろ低かった。コロナ禍のデータ。
出典: Fitzpatrick, Cristini, Bernard & Garon-Carrier, "Meeting preschool screen time recommendations: which parental strategies matter?" (Frontiers in Psychology, 2023)