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EVIDENCE / お金とくらしの数字

お金とくらしの数字の研究まとめ

お金とくらしの数字について、研究でわかったことを3本、元の論文の出典つきでまとめています。わかったことだけでなく、研究の限界や「まだわからないこと」も書いています。

メタ分析

キャッシュレスだと、つい使いすぎる?

よく聞く説

現金なら財布のお札が減るのが見えるけど、カードやスマホ決済だと払った実感がうすい。だから使いすぎる——キャッシュレスが当たり前になった今、よく聞く話だよね。

調べた人

40年分の研究をまとめて分析した

2024年、ショムバークたちは、払い方とお金の使い方を調べた71本の論文から、392の結果を集めてメタ分析した。現金以外で払うと出費が増える「キャッシュレス効果」が本当にあるのかを確かめた。

ほんとのところ

増える傾向はある。でも小さめだった

キャッシュレスだと出費が増える傾向は、小さいけれど確かに見られた。人に見せるための買い物では強く、寄付のような人のための出費では弱かった。景気がいい時期にも強まっていた。

まだわからないこと

慣れた今、どれくらい効くのか

この効果は年々弱まっていて、みんながキャッシュレスに慣れたせいかもしれないと考えられている。決済の仕組みの違いで効果が変わる証拠は見つからなかった。今の日本の買い物でどれくらい差が出るかは、まだわからない。

出典: Schomburgk, Belli & Hoffmann, "Less cash, more splash? A meta-analysis on the cashless effect" (Journal of Retailing, 2024)

あわせて読む現金とカードでは、払ってもいい金額が変わる?メタ分析のもとになった種類の実験。カード払いだと入札額がほぼ2倍になった

メタ分析

お金がないと、判断力が落ちる?

よく聞く説

お金の心配で頭がいっぱいになると、ほかのことを考える余裕がなくなる——「欠乏の行動経済学」などで広まった考え方だよね。本当に、お金が足りないと頭の働きは落ちるのかな。

調べた人

のべ11万人分のデータをまとめた

2024年、デ・アルメイダたちは、お金の欠乏と頭の働きの関係を調べた29のデータ(のべ11万1852人、256の結果)を集めてメタ分析した。教育や、欠乏した時期・深刻さによる違いも調べた。

わかったこと

落ちる傾向はある。教育を考えると小さくなる

お金が足りない人ほど、頭を使う課題の成績は低い傾向があった。ただ、教育の差を考えに入れると効果は60%小さくなり、小さな効果に。大人になってからの欠乏や、欠乏が深刻なほど影響は大きかった。

まだわからないこと

「お金の心配」だけで一時的に落ちるのか

このまとめには、関係を見ただけの調査も多い。お金の心配を思い出させると成績が下がるかを試した実験だけをまとめた2024年の別の分析では、効果はないか、あってもごく小さく、データが少なすぎて強くは言えないとされた。

出典: de Almeida et al., "Financial scarcity and cognitive performance: A meta-analysis" (Journal of Economic Psychology, 2024)

メタ分析

お金を配ると、人は働かなくなる?

よく聞く説

生活に困っている人にお金を配ると、働く気がなくなるのでは——ベーシックインカムや給付金の話になると、必ず出てくる心配だよね。実際にお金を配った実験では、どうだったんだろう。

調べた人

7つのくじ引き実験を調べ直した

2017年、バナジーたちは、6つの途上国で政府が行った現金給付について、くじ引きで受け取る人を決めた7つの実験(ランダム化比較試験)のデータを、まとめて分析し直した。

ほんとのところ

働かなくなる、という一貫した証拠はなかった

現金を受け取った人が働かなくなる、という系統だった証拠は見つからなかった。「給付を受けると怠ける」というよくあるイメージは、少なくともこの7つの実験では支えられなかった。

まだわからないこと

豊かな国では、少し減ったという報告も

対象は途上国の貧しい家庭への給付。アメリカで低所得の1000人に月1000ドルを3年配った2024年の実験では、働く時間が週1〜2時間減ったと報告されている。国や金額、配り方で結果は変わりうる。

出典: Banerjee, Hanna, Kreindler & Olken, "Debunking the Stereotype of the Lazy Welfare Recipient: Evidence from Cash Transfer Programs" (The World Bank Research Observer, 2017)

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