Diagnosis
財布の紐診断
(12問・あなたが弱い売る側の仕掛け)
信ぴょう性 B仕掛けは研究にもとづく・質問は簡易版
あなたの財布の紐は、どの仕掛けでゆるみますか。「残りわずか」「◯%オフ」「あと◯円で送料無料」「月々◯円」。買い物ページには、買わせるための仕掛けがたくさんあります。12問に答えると、どれに弱いかと、財布の紐の固さがわかります。所要時間は約1分です。
質問1 / 12
結果の読み方
- いちばん上が、財布の紐の固さです。12問の合計(12〜36点)で、固結び・蝶結び・ゆるみ気味・ほどけかけの4段階に分けます。
- その下に、仕掛けごとの弱さを弱い順に並べます。「弱い」「ときどき」の仕掛けには、研究でわかっていることと対抗のしかたを出します。
- 1か月ほどたったら、もう一度診断してください。前回との差が出るので、紐が固くなったかを確かめられます(記録はこのブラウザの中だけ)。
売る側の仕掛け12種類と研究
開くと、研究でわかったこと・論文・対抗のしかた・解説記事が読めます。研究の数字は、SEADICEのメディア「お金と心理」で出典を確かめた記事から使っています。
割引前の値段を見せる先に高い「定価」や「◯%オフ」を見せて、いまの値段を安く感じさせる。
研究でわかったこと: 最初に見た数字は、まったく関係のない数字でも判断の基準になります。ルーレットで10を見た人の答えの中央値は25%、65を見た人は45%でした。(Tversky & Kahneman (1974), Science)
対抗のしかた: 割引率は見ない。「結局いくら払うか」の金額だけで、必要かを決める。
時間で急がせる「本日限り」「残り◯時間」で、考える時間を取らせない。
研究でわかったこと: 時間の圧力を感じる人ほど、衝動買いが多い関係がありました(ライブ配信での買い物の調査)。(Sun ら (2023), Heliyon)
対抗のしかた: 締め切りは売る側の都合。終わっても困らない物なら、待つリストに入れて見送る。
残りわずかと見せる「残り3点」「数量限定」で、今決めないとなくなると思わせる。
研究でわかったこと: 「残りわずか」などの表示は、まず「今決めないと」という急ぐ気持ちを強く引き上げました。(Pal & Milfelner (2026), Behavioral Sciences)
対抗のしかた: 売り切れたら困るかを自分に聞く。困らないなら、なくなっても損はしていない。
みんな買っていると見せる「ランキング1位」「◯人が購入」で、乗り遅れたくない気持ちをつくる。
研究でわかったこと: 「他の人も買っている」という表示も「急いで決めないと」という切迫感を引き起こしました。ただし効果は「残りわずか」の表示よりかなり小さいものでした。(Pal & Milfelner (2026), Behavioral Sciences)
対抗のしかた: 人気は、自分に合うかとは別の話。使う場面を日付つきで言えるかで決める。
「無料」で引きつける「送料無料」「あと◯円で送料無料」で、もう1品足させる。
研究でわかったこと: 値段が0円になると、人は値下がり分以上にその物を良いと感じました。ネット通販では、「一定額以上で送料無料」が注文の数と1回の購入額を増やしていました。(Lewis ら (2006), Shampanier ら (2007), Marketing Science)
対抗のしかた: 送料無料のために足す物は、それ単独でも買うかで決める。足した額のほうが送料より高いことが多い。
980円のような値段1,000円を980円にして、左端の数字を小さく見せる。
研究でわかったこと: 通販カタログの3つの実験すべてで、値段の末尾を9にしただけで、売れる数が増えました。(Anderson & Simester (2003), Quantitative Marketing and Economics)
対抗のしかた: 値段は切り上げて読む。980円は1,000円、1,980円は2,000円。
分割・後払いで小さく見せる「月々◯円」「後払い」で、払う額を小さく感じさせる。
研究でわかったこと: 事前に計画を登録した3つの実験で、一括払いより分割払いのほうが費用を小さく感じ、「お金が足りない」という感覚が弱まって、使う額が増えました。(Maesen & Ang (2024), Journal of Marketing)
対抗のしかた: 月々の額ではなく、合計の金額で決める。一括で払えない物は、今は買わない。
ポイントで急がせる「ポイント10倍」「あと少しで特典」で、買うペースを上げさせる。
研究でわかったこと: コーヒー店の「10杯で1杯無料」の研究では、無料に近づくほど来店の間隔が短くなり、最初と最後のスタンプのあいだで約20%早まりました。(Kivetz ら (2006), Journal of Marketing Research)
対抗のしかた: ポイントは「その分の値引き」として計算する。要らない物を買って得るポイントは、損の言いかえ。
クーポンで「得した」と思わせるクーポンで浮いた気がするお金を、別の物に使わせる。
研究でわかったこと: ネットスーパーの研究では、10ドル引きのクーポンを使った注文は、使わなかった注文より食料品の購入額が1.59ドル多くなっていました。(Milkman & Beshears (2009), Journal of Economic Behavior & Organization)
対抗のしかた: 浮いた分で何かを足さない。クーポンがなくても買う物だけに使う。
まとめ買いで得に見せる「3個で◯円」「セット割」で、必要より多く買わせる。
研究でわかったこと: イギリスの購買データの分析では、「セット割引」などのまとめ買いの促進が、1回あたりの購入量を最大で22.3%増やしていたと推計されました。(Watt ら (2023), Health Economics)
対抗のしかた: 使い切れる量だけを買う。1個あたりが安くても、使わない分はまるごと損。
払う痛みを消す「今すぐ購入」や保存したカードで、お金が出ていく感覚をなくす。
研究でわかったこと: 実際に入札で買う実験で、クレジットカードで払うよう指定された人は、現金の人より高い額をつけました。差は最大で約100%でした。(Prelec & Simester (2001), Marketing Letters)
対抗のしかた: 「この額を現金で財布から出すなら?」と考える。保存したカード情報は消しておく。
「ご褒美」で許す「頑張った自分へのご褒美」で、ぜいたくを正当化させる。
研究でわかったこと: 5つの研究で、先に良いことをする選択をした人ほど、その後にぜいたくな商品を選びやすくなっていました。(Khan & Dhar (2006), Journal of Marketing Research)
対抗のしかた: ご褒美は前もって決めた物だけにする。その場で思いついたご褒美は、待つリストへ。
点数の出し方
- 12問に3択(ない1点・ときどき2点・よくある3点)で答えます。1つの仕掛けにつき1問です。
- 合計の区切りは 29点以上「ほどけかけ」、23点以上「ゆるみ気味」、17点以上「蝶結び」、12点以上「固結び」 です。この区切りと12の質問はSEADICEが作ったもので、研究で確かめた尺度ではありません。
研究ではどこまでわかっているか
- わかっていること: ここで扱う12の仕掛けは、どれも実験や購買データの分析で、買う量や買いたい気持ちを増やす方向に働くことが報告されています(上の各項目)。また、「残りわずか」の表示が売る側の仕掛けに見えると、買いたい気持ちはむしろ下がりました(5点満点で3.34→2.26。Ye ら (2024), Frontiers in Psychology)。仕掛けに気づくこと自体に意味がある、というのがこの診断の考え方です。
- 弱いところ: 環境に配慮した商品での大学生の実験で、すべての商品に当てはまるとは限りません。 仕掛けごとの効果の大きさは、商品や場面によって変わります。
- まだわからないこと: 自分でどの仕掛けに弱いと答えた人が、実際の買い物でもその仕掛けに動かされやすいかは、確かめられていません。
買い物の途中で見抜くなら
SEADICEのiPhoneアプリ「財布の紐」(App Store近日公開)は、Safariの共有メニューや機能拡張から、開いている買い物ページの仕掛けを端末の中だけで見つけ、欲しい物は待つリストで時間を置いて決められます。同じ12の仕掛けと研究を使っています。
よくある質問
財布の紐診断では何がわかりますか?
ネット通販やお店で使われる「売る側の仕掛け」12種類のうち、あなたがどれに弱いかと、全体の財布の紐の固さ(固結び・蝶結び・ゆるみ気味・ほどけかけ)がわかります。12問に3択で答える1分ほどの診断で、弱い仕掛けごとに研究でわかっていることと対抗のしかたを出します。
この診断は当たりますか?
仕掛けそのもの(割引前の値段・時間の圧力・残りわずか・送料無料・分割払い・ポイントなど)は、行動経済学・心理学の研究で効果が調べられています。ただし質問と点数の区切りはSEADICEが作った簡易版で、研究で精度を確かめた尺度ではありません。そのため信ぴょう性はBとしています。
衝動買いをしやすいのは意志が弱いからですか?
そうとは限りません。この診断で扱う仕掛けは、だれにでも起きる心の働きを利用したものです。研究では、「残りわずか」の表示が売る側の仕掛けに見えると、買いたい気持ちはむしろ下がりました(Yeら, 2024)。どの仕掛けに弱いかを知っておくことが、流されないための第一歩です。
買い物依存かどうかもわかりますか?
わかりません。この診断は病気や依存の診断ではありません。買い物がやめられず生活に困っているときは、身近な消費生活センターや医療機関などの相談窓口を頼ってください。
答えや結果はどこかに送られますか?
送られません。結果はこのブラウザの中(診断プロフィール帳)にだけ保存され、もう一度診断すると前回との差が出ます。登録も不要です。
出典
- Tversky & Kahneman (1974), Science. 論文
- Sun ら (2023), Heliyon. 論文
- Pal & Milfelner (2026), Behavioral Sciences. 論文
- Lewis ら (2006), Shampanier ら (2007), Marketing Science. 論文
- Anderson & Simester (2003), Quantitative Marketing and Economics. 論文
- Maesen & Ang (2024), Journal of Marketing. 論文
- Kivetz ら (2006), Journal of Marketing Research. 論文
- Milkman & Beshears (2009), Journal of Economic Behavior & Organization. 論文
- Watt ら (2023), Health Economics. 論文
- Prelec & Simester (2001), Marketing Letters. 論文
- Khan & Dhar (2006), Journal of Marketing Research. 論文
- Ye ら (2024), Frontiers in Psychology. 論文
質問・点数の区切り・結果の説明文は、上の研究をもとにSEADICEが書いたものです(公開: 2026-10-15)。