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その目標、コントロールできる?(目標の立て方チェック)
「合格する」「好かれる」「やる気を出す」は、運や相手や気分しだいで、自分だけでは決められません。目標のためにやることを1つずつ確かめて、全部を「自分で決められる行動」に言い換えます。あとは、やったかどうかを毎日つけるだけです。言い換えの基準はSEADICEが決めたもので、研究はスポーツの目標設定と「もし〜したら」の計画の2本をもとにしています。
例から始める(やることの例も入ります)
3. 1つずつ確かめる
このツールの2つの決まり(行動を目標にする・いつやるかを決める)のもとになった研究です。文章は省略していません。
結果を目標にするより、自分の動きを目標にしたほうが伸びる?スポーツの研究27件をまとめると、自分の動き(やり方)を目標にしたときの伸びが最も大きく、勝ち負けなどの結果を目標にしたときはほとんど伸びなかった。
どんな研究?
メタ分析オーストラリアの研究チーム(Williamson ら)が、スポーツの目標設定の研究を17,841件探し、条件に合う27件をまとめた。目標を3種類に分けて比べている。結果目標(勝ち負け・順位など、相手しだいで決まるもの)、パフォーマンス目標(自分の記録・タイムなど)、プロセス目標(フォームや手順など、自分の動きそのもの)。
数字で見ると
成績への効果は、プロセス目標が d=1.36 で最も大きく、パフォーマンス目標は d=0.44、結果目標は d=0.09 だった。プロセス目標は「自分ならできる」という感覚(自己効力感)にも大きな効果(d=1.11)があった。具体的な目標(d=0.37)とあいまいな目標(d=0.72)の間には、はっきりした差は出なかった。
まだわからないこと
スポーツの研究だけをまとめたもので、勉強・ダイエット・人間関係の目標で同じ差が出るかは、この研究ではわからない。不安や意欲など心の面への効果は、研究どうしで比べられるものが少なく、結論は出せなかったと著者自身が書いている。このツールの「自分で決められる行動」は、プロセス目標に近いものとしてSEADICEが言い換えたもので、研究の分け方とまったく同じではない。
出典: Williamson et al. (2022). International Review of Sport and Exercise Psychology
「もし〜したら、〜する」と決めると目標を達成しやすい?「いつ・どこで・どうする」を事前に決めておくと、決めない場合より目標を達成しやすいことが、多数の研究の統合で示されている。
どんな研究?
メタ分析ニューヨーク大学のゴルヴィッツァーらが、「もしXならY」という実行意図を立てた群と立てなかった群を比べた研究94件(63報告)を統合したメタ分析。
数字で見ると
実行意図は目標達成に中〜大の効果(d=0.65)を示した。開始、妨害への対処、あきらめの切り替えなど、複数の場面で効果があった。
まだわからないこと
多くの研究をまとめた平均の話で、目標や人によって効き方は違う。対象や場面ごとの差、効果が何か月続くかは、このカードの範囲ではわからないよ。
出典: Gollwitzer & Sheeran (2006). Advances in Experimental Social Psychology / EVIDENCE の同じ研究
「コントロールできること・できないこと」の考え方は研究?研究ではありません。古代ギリシャのストア派の哲学や、自己啓発の本で広まった考え方です。
「自分で変えられることに力を使い、変えられないことは手放す」という考え方は、ストア派の哲学者エピクテトスの言葉や、「影響の輪」の図で知られています。わかりやすい考え方ですが、この図そのものの効果を確かめた研究は、SEADICEでは見つけられていません。このツールは、それに近い上の2本の研究を根拠にしています。
言い換え方の早見表
自分では決められない言葉は、だいたい次の5つです。見つけたら、下のように言い換えます。
結果の言葉(合格する・やせる・勝つ・○点を取る)
結果は、運や体調、問題の相性にも左右されます。目標の欄にはそのまま残して、毎日見るのは結果に近づくための行動にします。例:「試験に受かる」→「平日の夜に、過去問を1回分解く」。根拠を見る
相手しだいの言葉(好かれる・認められる・返事をもらう)
相手の気持ちや返事は決められません。自分から働きかける行動にします。例:「好かれる」→「週に1回、自分から話しかける」。
気持ちの言葉(やる気を出す・自信を持つ・緊張しない)
気持ちは直接は決められません。気分に関係なくできる体の動きにします。例:「やる気を出す」→「朝7時に机に座って、テキストを開く」。
運の言葉(出会う・見つかる・チャンスが来る)
めぐり合わせは決められません。機会を増やす行動にします。例:「いい教材に出会う」→「土曜に本屋で教材を3冊見比べる」。
あいまいな言葉(頑張る・なるべく・ちゃんと)
やったかどうかを自分で確かめられません。あとで記録をつけられるように、回数・時間・場面を入れます。例:「勉強を頑張る」→「帰ったら30分、スマホを別の部屋に置いて勉強する」。これは記録のための決まりで、研究の根拠ではありません(スポーツの研究では、具体的な目標とあいまいな目標の間にはっきりした差は出ていません)。いつやるかを決めるのは、それだけで達成しやすくなるという別の研究があるからです。根拠を見る
よくある質問
「合格する」のような結果の目標は立ててはいけない?
立ててかまいません。結果は向かう先として目標の欄に残し、毎日見るものを「自分で決められる行動」にします。スポーツの研究では、自分の動きを目標にしたときの伸び(d=1.36)が、結果を目標にしたとき(d=0.09)より大きく出ました。ただし、勉強やダイエットで同じ差が出るかはわかっていません。
行動を全部やったのに、結果が出なかったら?
結果には自分以外のことも関わるので、出ないこともあります。そのときは自分を責めるのではなく、記録を見て行動の中身(量・時間・やり方)を変え、計画を作り直してください。やった日の記録は、結果が出ていない間も「自分で決めたことはやれている」という確かな手がかりになります。
どうして判定は自分で選ぶの?
同じ「毎日走る」でも、けがをしている人には自分だけでは決められないことがあります。決められるかどうかを一番知っているのは本人なので、ツールは気になる言葉を知らせるだけにして、最後は自分で選ぶ形にしています。言葉の見つけ方はSEADICEが決めたもので、研究の基準ではありません。
記録はどこに保存される?
このブラウザの中(localStorage)だけです。登録はなく、SEADICEのサーバーを含めて外部には送信しません。計画と記録はテキストで書き出せます。
関連
EVIDENCE 習慣形成習慣になるまでの日数、「もし〜したら」の計画などの研究まとめ 「もし〜したら、〜する」で習慣は続く?悩みの科学。実行意図の研究を詳しく ストレス対処のタイプ変えられない状況でのストレスの扱い方出典
- Williamson, O., Swann, C., Bennett, K. J. M., Bird, M. D., Goddard, S. G., Schweickle, M. J., & Jackman, P. C. (2022). The performance and psychological effects of goal setting in sport: A systematic review and meta-analysis. International Review of Sport and Exercise Psychology. https://doi.org/10.1080/1750984X.2022.2116723
- Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69-119. https://doi.org/10.1016/S0065-2601(06)38002-1
2本とも、DOI(Crossref)と要旨の数字(件数・効果の大きさ)を2026年10月20日に確認しました。本文までは当たっていません。目標の3種類の説明は、目標設定の研究で一般的な分け方をSEADICEが言い換えたものです。商品・サービスの紹介はしていません。