夜スマホをやめられないのは意志の弱さ?研究でわかった原因と3つの一歩
「あと1本だけ見たら寝よう」と思いながら、気づけば深夜。翌朝、後悔する。わかっているのにやめられないのは、あなたの意志が弱いからと決めつけなくて大丈夫です。研究では、日中の疲れと、寝る前の画面の光が、それぞれ眠りの邪魔をしていることが報告されています。
3行でわかる
- 寝る前に光る画面を見ると、眠りにつくまでに約10分余計にかかった実験があります。
- 夜ふかしは、日中に我慢したことが多い人ほど起きやすい傾向がありました。
- 「もし〜なら、〜する」と先に決めておく練習で、寝るのを先延ばしにする時間が減った研究があります。
01「寝るのを先延ばしにする」のは、よくあること
寝る時間が遅くなる理由がないのに、予定より遅く寝てしまうことは「就寝の先延ばし」と呼ばれ、ごく普通に起きています。
オランダの大人2,431人を対象にした調査では、多くの人が睡眠不足を感じ、しばしば予定より遅く寝ていました。そして、自分をコントロールする力(自己制御)と睡眠不足の関係は、この「寝るのを先延ばしにする行動」を通じてつながっていました。つまり、夜ふかしの背景には、その場の気持ちよさと、あとで困る未来の間でうまく折り合いをつける難しさがあります。
02科学的にわかっていること
画面の光は眠りを遅らせ、日中の我慢が多い日ほど夜ふかししやすい。この2つが、これまでの研究で確認されています。
Chang ら(2015)[1]
寝る前に光る電子端末で本を読むと、紙の本のときより、眠りにつくまでに約10分長くかかり、夜の眠気やメラトニン(眠りを促すホルモン)の分泌が減り、翌朝の目覚めのすっきり感も下がりました。
対象: 成人12人、約2週間の実験室での比較 / 限界: 人数が少なく、スマホではなくタブレットでの実験です。
Han ら(2024)[2]
電子メディアをよく使う人ほど、睡眠の質が低い傾向がありました。55本の論文、合計41,716人分を統合した分析です。
対象: 20か国以上の研究 / 限界: 「関連がある」ことを示すもので、スマホが原因と断定はできません。
Kamphorst ら(2018)[4]
前日に「たくさんの誘惑を我慢した」と答えた人ほど、寝るのを先延ばしにしやすい傾向がありました。
対象: 218人のアンケート / 限界: 関連の強さは相関係数0.21で、大きな影響とまでは言えません。
03今日からできる小さな一歩
研究をもとに考えた3つの工夫です。どれも数分でできます。全部やらなくて大丈夫、1つ選んでください。
寝る前の最後の時間は、紙の本や音声にする
Chang らの実験で比べられたのは「光る画面」と「紙の本」です。寝る前の読み物だけでも紙に替えてみてください。
所要 0分(置き換えるだけ)
「もし○○なら、□□する」を1つ決める
例:「もし歯みがきが終わったら、スマホを充電器につないで部屋の外に置く」。Valshtein らの研究では、望む結果と邪魔になりそうなことを考え、こうした「もし〜なら」の計画を立てる練習をしたグループで、寝るのを先延ばしにする時間が減りました。
所要 3分
夜のご褒美を、昼のうちに予定へ入れる
日中に我慢が多いほど夜ふかししやすいという結果から考えた工夫です。「動画を見る30分」を先に予定に入れておくと、夜に無計画な「取り返し」をしなくて済みます(この方法自体の効果は今回の出典では検証されていません)。
所要 1分
04続けるためのコツ
完璧を目指さず、うまくいかなかった日を責めないことが続けるコツです。
- 1週間だけ試すと決める。Valshtein らの研究でも、効果を測ったのは1〜3週間後でした。
- できなかった夜は、なぜ難しかったか(疲れていた、動画が止まらなかった)だけメモする。
- 「もし〜なら」の計画は、うまくいかなければ言い換えて作り直す。
05この研究から考えた、こんなアプリ
意志の力に頼らず、夜の行動を「先に決めておく」ことで、自然に布団へ向かえるアプリです。
APP IDEA
おやすみクエスト(仮)
今夜のスマホ、置いてから寝る
もう1本見てしまう夜 → 自然に布団へ向かえる夜
- 「もし〜なら、〜する」の計画を、質問に答えるだけで作れる(望む結果と、邪魔になりそうなことを聞いてくれる)。
- 昼のうちに「夜のご褒美の時間」を決めて、通知でそっと知らせる。
- 寝た時刻を1タップで記録して、1週間の変化をやさしく振り返る。AIに「うまくいかなかった夜」の相談もできる。
こんなアプリがあったら使いたいですか? 感想やほしい機能は トップページのCHAT から教えてください。
06よくある質問
寝る前のスマホは、何分前までにやめればいいですか?
今回調べた研究では、最適な時間は確認できませんでした。実験で悪影響が出たのは「寝る直前の数時間の画面の光」です。まずは布団に入る前にスマホを離れた場所に置くことから試してください。
ブルーライトカットの眼鏡やナイトモードで解決しますか?
今回の出典では検証されていないため、効果があるとは言えません。研究でわかっているのは、光る端末を寝る前に使うと眠りにつくまでの時間が延びた、という点までです。
眠れない日が続く場合は?
生活の工夫で改善しない不眠が続くときは、医師や専門の医療機関に相談してください。
出典
- Chang AM, Aeschbach D, Duffy JF, Czeisler CA. (2015). Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness. Proceedings of the National Academy of Sciences. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25535358/(実験の人数・約10分の差は、Penn State の発表 https://www.psu.edu/news/research/story/light-emitting-e-readers-detrimentally-shift-circadian-clock による)
- Han X, Zhou E, Liu D. (2024). Electronic Media Use and Sleep Quality: Updated Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Medical Internet Research. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38533835/
- Kroese FM, Evers C, Adriaanse MA, de Ridder DTD. (2016). Bedtime procrastination: A self-regulation perspective on sleep insufficiency in the general population. Journal of Health Psychology. https://doi.org/10.1177/1359105314540014
- Kamphorst BA, Nauts S, De Ridder DTD, Anderson JH. (2018). Too Depleted to Turn In: The Relevance of End-of-the-Day Resource Depletion for Reducing Bedtime Procrastination. Frontiers in Psychology. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.00252
- Valshtein TJ, Oettingen G, Gollwitzer PM. (2020). Using mental contrasting with implementation intentions to reduce bedtime procrastination: two randomised trials. Psychology & Health. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31403339/